雲のメモ帳

猫とクラウドと旅行が好きなインフラエンジニアです。 日々の調べたことや興味が持ったことをこのブログにアウトプットします。

CTO室での1年ふり返り

9月にCTO室を立ち上げてから、ちょうど1年が経ちました。
昨年のふり返りはこの記事にまとめています。

www.cloudnotes.tech

CTOの役割をどうチームで引き継ぐかを模索しながら進めてきました。
まだ試行錯誤中ではありますが、少しずつ形が見えてきたので、この1年でやってきたことの一部を整理しておこうと思います。
今振り返らないと忘れるのでw

1. エンジニアに数値をより共有する

今年は、エンジニア組織に対して数字をよりオープンにすることを意識しました。
これまでは経営会議やシニアマネージャーの中で閉じていたP/Lの情報を、CTO室のメンバーに定例的に共有するようにしました。
取扱高や売上、限界利益、営業利益といった数字をサマリして伝えることで、会社や事業、サービスの状況や構造を数字ベースで把握できるようにしています。

加えて、最近はじめたこととして エンジニアリングマネージャー(EM)向けの月次定例 を始めました。
この場では、経営上の課題や意思決定の背景を共有すると同時に、エンジニア組織の運営や体制についても意見交換を行っています。

これまでは組織設計や体制の判断をシニアマネージャーやCTOに近いメンバーだけで決めていましたが、EM層を交えることで、現場メンバーのモチベーションや意向を組織体制に反映しやすくなったと感じています。

2. AIはツール導入から柔軟なAI補助へ

この1年でAIは大きく進化しました。
CTO室としても、その流れをどう開発に取り入れていくかを模索してきました。

当初はDevinやBedrock(cline)の予算をとって導入を進めていましたが、技術の進化があまりに早く、導入を決めたツールよりも良い製品がすぐに登場してしまうという課題がありました。

そこで方向性を変えて、決め打ちでツールやAPIを提供するのではなく、エンジニアがそれぞれ自分に合ったAIツールを選べるようにするように補助を出すという形にシフトしました。

  • Claude Codeを使う人
  • Codexを試す人
  • GitHub Copilotを利用する人

など、それぞれが使いやすいものを選び、すぐに実務に取り入れられるようになっています。

この方式に変えたことで、最新のAIサービスを常に取り入れられるようになり、エンジニア組織としての生産性向上や効率化に確実につながってきていると感じています。

3. 全社員向けAI活用の基盤づくり

もうひとつ大きなテーマが、全社員がAIを自然に使える状態にすること。

背景としては、AIの精度が一気に上がり、業務で使える範囲が広がったことがあります。
その結果、

  • AIを業務の選択肢として持っている人
  • そうでない人

の間でスキル差が広がっていると感じています。

もちろんすべてAIに任せるわけではありませんが、AIを選択肢として考えられるかどうかで成果や成長に差が出てくるようになったので、まず全員がAIを自然に使える状態を目標にしました。

そのために今年取り組んだのは、大きく3つあります。

  • AIに関するガイドラインの見直しと全社方針の打ち出し
    社員が安心して使えるようにルールを整え、全社としての方向性を示しました。

  • Difyを基盤とした業務置き換え
    メール返信案の作成やGoogleスライドの自動生成など、実際の業務をAIに任せられる仕組みを導入しました。

Dify利用例

  • マニュアルの整備と提供
    NotebookLMの使い方、Geminiの活用方法、Googleスライド自動生成の流れなどをまとめ、社員がすぐに試せる形で展開しました。

こうした取り組みの結果、これまで1〜2割程度だった利用率が、現在は3〜4割程度の社員が日常的にAIを使うまでに広がっています。

とはいえ、まだ部分的・限定的な利用が中心です。
今後はさらに踏み込み、業務にどうAIを組み込むかを社員教育や実践を通して進めることで、AIを当たり前の業務の選択肢にしていきたいと考えています。

4. 10分勉強会は今も元気に続行中

10分勉強会も引き続き続けています。

10分という気軽さがちょうどよく、発表のハードルが低いため、アウトプットが増えています。
今年に入ってから数えてみると すでに33回実施 していました。 ほぼ毎週ペースで続けられていて、小さな場ながら文化として根づいてきたと感じています。

5. 経営との対話と投資の見える化

最後に、経営との関わり方について。

今年は、投資状況を見える化する取り組みを始めました。
参考にしたのは、Takeuchi Shinさんのブログで紹介されている考え方です。

note.com

短期・中期・長期といった時間軸ごとに、どこにリソースを割いているのかを整理してイメージできるようにしました。
さらに、運用や管理といった例外的なタスクについても可視化の対象に含めるようアレンジしています。

これを毎月の報告に組み込むことで、経営とエンジニアが同じ言語で会話できる状態に近づきました。

具体的には、

  • P/L・B/S・G/Pの各項目に対して投資配分をマッピング
  • 月次で形式化して報告し、経営陣からの質問にもすぐ回答できるようになった
  • 投資配分の月ごとの変化を自分たちで分析し、振り返りや改善につなげられるようになった

これまで「今どこに投資しているのか」「何が不足しているのか」を即答するのは難しかったのですが、仕組みを整えたことで数値をもとに会話できるようになったのは大きな変化でした。

まだ運用を始めたばかりなのでブラッシュアップは必要ですが、今後も継続して改善を進めていきます。

イメージ図

まとめ

この1年をふり返ると、大きく6つの取り組みが柱になっていました。

  1. エンジニアに数値をより共有する
    CTO室やエンジニアリングマネージャーにP/Lを定例で共有し、経営上の課題や意思決定を現場にも開いた。

  2. AIは決め打ち導入から柔軟な補助へ
    ツールを固定で入れるのではなく、エンジニアが自分に合ったAIサービスを選んで使えるようにした。

  3. 全社員向けにAI活用の基盤を整備
    ガイドラインやDify基盤、マニュアルを整え、メール返信やスライド作成など業務でAIを使える環境を用意した。利用率も3〜4割まで拡大。

  4. 10分勉強会を継続して文化に育てた
    今年だけで33回開催。小さな場だけど知識共有が当たり前になるきっかけに。

  5. 経営との対話を投資の見える化で加速
    投資配分をマッピングして、経営と同じ言語で会話できる仕組みを作った。

派手さはないですが、組織や文化の基盤をエンジニア全員で少しずつ積み上げられた1年でした。

以上です!!